ふつうのくらしマガジン

約7割の女性が年収250万円以下。『シングル女性の貧困』が世の中に問うたこと

『シングル女性の貧困:非正規職女性の仕事・暮らしと社会的支援』
ドキリ、とするタイトルの本が2017年9月に刊行されました。2015年に行った、非正規シングル女性の仕事と暮らし方に関するWEB調査をまとめ、かつ研究者による知見を加えた刊行物で、2018年2月時点では、非正規シングル女性の支援についてこの書籍が一番包括的にまとまった研究書だと思われます。

この本によると、非正規シングル女性の仕事と暮らしには以下のような特徴があるそうです。

  1. 6割が非自発的に非正規職となっている
  2. 7割が年収250万円未満
  3. 仕事についての悩みや不安は「低年収」と「雇用継続」
  4. 女性でシングルであることで心理的な圧迫を受け、傷ついている
  5. 「社会の風潮や制度の改革」「具体的なサポートプログラム」「同じ立場の人のつながり」を望んでいる

以下、上記の(1)~(5)について、詳しく紹介していきます。

「正社員として働ける会社がなかったから…」約6割の女性が非自発的に非正規職へ

同書の著者たちが行ったWEB調査の結果、現在非正規雇用で働いている理由として、62%の女性が「正社員として働ける会社がなかったため」を選択したそうです。

同割合は、契約社員・派遣社員に限れば7割を超えます。
調査の対象年齢は35~54歳です。

また、政府統計『労働力調査』でも5割近い契約社員・派遣社員の人が「正規の職員・従業員の仕事がないから」現在の雇用形態で働いているとし回答してます。

女性の非正規職、といえば典型的には主婦のパート労働が想像されますが、両調査から言えることは、

非正規雇用で働く女性は家計の補助的に働きたい人たちばかりではなく、仕事を通じての安定した状況を獲得したい女性や、自己実現や成長の機会を得たい女性たちも多数いること、そしてそれがかなわない状況である女性が多数いることもうかがえます。

約7割の女性が年収250万円以下。一人暮らしは難しく、貯金も困難。

また、同書の調査によると、35~54歳の非正規職女性を対象としたWEB調査の結果、回答者の年収は200万円~250万円(税引前)に一番多く分布していました(26.1%)。

また、年収が300万円未満の女性は68.2%、全体の約7割という結果が出ました。

仮に、年収が250万円あった場合でも手取りは16万円程度。一人暮らしをするとやりくりをしても貯金は難しい水準です。同書を読んでいると「友人の冠婚葬祭費用がつらい」という声が聞かれるのも納得ができます。

そして、実際にはその年収以下で暮らしている人がたくさんいます。

同調査では、28.2%の人が年収150万円以下と回答しました。調査当時の日本の相対的貧困のラインは122万円で、約3割の女性が貧困ラインに近い水準かそれ以下の賃金で働いています。

「収入が少ない」8割、「雇いどめが不安」6割、非正規シングル女性の心配事

『シングル女性の貧困:非正規職女性の仕事・暮らしと社会的支援』で、同書の著者たちが行ったWEB調査によると、

「あなたが現在感じている、仕事に関する悩みや不安はなんですか」という設問に対し、82.4%の女性が「収入が少ないこと」、58.4%の女性が「雇用継続(解雇・雇いどめ)の不安」と回答したそうです。

第三位の「教育・研修がない」が21.8%なので、上記2項はずば抜けて高くなっています。

同項目の自由記述欄にも、

「今の派遣期間が終わったら次があるか不安」

「収入が少ないため、貯蓄もできない」

等の声が並びます。

一方で、同書では年収が300万円以上の人では現在の生活に「満足している」(「満足」と「まあ満足」の合計)と答えた人が4割以上(42.0%)になることを指摘し、フルタイムの非正規職労働者に300万円以上の賃金を保証してはどうかと提案しています。

親の介護を期待される。周囲からの心理的な圧迫がある。非正規シングル女性とジェンダー規範

同書の著者たちが行った調査のなかで、少なくない女性たちがジェンダー規範による社会的な圧迫を口にしています。

「病気の父母のために私が毎晩仕事の帰りに食事を作りに行っている。私の人生は介護で終わるのかな。」
「いつ契約が切られるが不安。結婚して子供がいて当然と暗黙の差別がある。」
「40代女性の仕事は家計補助と思われているのか、まずフルタイムの募集がない」

など、インタビューやアンケートの自由記述欄には社会的・制度的なジェンダー規範の中で、辛い思いをしている人たちの声が聞かれます。

多くの女性たちが、課題解決のためには「つながる」「こえをあげる」必要があると回答していることも納得ができます。

私たちもその一助になれればと思います。

仲間とつながりたい、利用できる支援がほしい、社会が変わる必要がある。非正規シングル女性の望むサポート

同書の調査では、調査の対象となった女性たちに希望する支援について聞いています。その結果、あがった声を、[1]社会の風潮や制度の改革、[2]具体的なサポートプログラム、[3]同じ立場の人のつながりの3点にまとめています。

[1]については、仕事や雇用の制度(同一労働同一賃金、40代女性に主婦向け以外の求人を、正規職との不公正な条件格差の是正)など

[2]については、スキルアップ講座、就職・生活の相談窓口、住宅などの生活支援など

[3]については、ピアサポートを受けられる場や、ネット上のコミュニティなど

これらを望む非常に多くの声が上がっています。

それだけ多くのニーズに対し支援がない、もしくはあっても届けられないでいる状況が伺えます。

私たちも微力ながら、3月以降、ピアサポートグループを運営することにいたしました。
具体的なサポートプログラムはこちらをご覧ください。

生きるために必要な賃金や収入が得られていれば、女性たちの不安は和らぐのかもしれません。
●「非正規職シングル女性の社会的支援に向けたニーズ調査」

「非正規職シングル女性の社会的支援に向けたニーズ調査」 報告書ダウンロード

ご興味のある方はぜひご覧ください。