ふつうのくらしマガジン開催レポート

非正規シングル女性の視点から、貧乏な人限定の婚活イベント「貧コン!」を考える

こんにちは、ふつうのくらし主宰のあずみです。

去る4月15日に武蔵新城のPASAR BASEで行われた、貧乏な人限定の婚活イベント「貧コン!」をお手伝いしてきました。
このイベントは「貧コン!実行委員会」さんが主催されていて、自分が貧乏であると思っている人ならだれでも参加できます。

このイベントは参加した男女が友達になることをゴールとしています。実際にそこからカップルが成立した割合等は計測してはいないのですが、過去には貧コン!をきっかけに色々な人と話すようになった結果、結婚に至った人はいます。

ワールドカフェ形式でいろいろなことを話し合う男女

今回もワールドカフェ形式で色々な人と「生活のこと」「趣味のこと」「恋愛のこと」等を話し合い、多くの人が連絡先を交換し合い、帰路についた模様です。この先が楽しみですね。


さて、ふつうのくらしがこの「貧コン!」を応援している理由は二つあります。

一つは、男女同士のピアサポートは成り立つのかという試行のため。
一つは、上野千鶴子さんが以前に書かれたこちらの記事に共感するためです。

男性、女性ではなく「生きづらさ」にフォーカスを当てることで見えてくる、「生きやすい」生活への新しい解

一つ目の理由、「男女同士のピアサポートは成り立つのかという試行」について、経験値ではありますが、確かに女性はつながりあうことで心身ともにリラックスできる効果が高いようです。
男女共同参画センター横浜さんが実施された「非正規職シングル女性の社会的支援に向けたニーズ調査」の中では、非正規シングル女性が望む支援について、同じ立場の人の交流、すなわち「ピアサポート」が非常に多く上がっています。

ですが、女性同士で固まり続けることへの危険も一方で感じています。

歴史的に、女性の問題はフェミニストたちの動きが活性化する度にバックラッシュ(活動を後戻りさせる排斥運動)に対面することになってきました。

また、女性団体はなぜか参加者のほとんどが女性です。
経済的に苦しくてつらいのは男女問わず同じはず。ジェンダーに関係なく「生きづらさ」を共有することで見えてくるものも何かあるのではないでしょうか?そういった課題意識もあって男女共同のこちらのイベントを応援させていただいています。

貧コン!では(「女性」ではなく)「貧乏」をテーマに人たちが集まったためか、当日は男女問わないピアサポートの場がいくつか紹介されました。

↓当日いらした方が紹介されたピアサポートの場↓
●Neccoカフェ
「大人の発達障害当事者による、大人の発達障害当事者のため」の居場所
*こちらの「ぐれ会」(発達障害のグレーゾーンの方のための会)を主宰する方がいらっしゃいました。

●リバ邸茨城
「現代の駆け込み寺」を目指すシェアハウス

紹介してくださった方はどちらも男性。女性のための会では出会えなかった(?)であろうこのような場を共有できたのはとても良かったと思っています。

前に立って話すゲストの杏奈薫さん

家計を共にするパートナーがいることで経済的に安泰することは事実。自分から結婚の可能性を閉ざさないで

私たちが「貧コン!」を応援する二つめの理由は、社会学者の上野千鶴子さんのこちらの記事です。

「女子力を磨くより、稼ぐ力を身に付けなさい!」上野千鶴子さんが描く、働く女の未来予想図

この記事は、以下の部分が良くも悪くも大変話題になりました。

賃金が上がらないといっても、外食せずに家で鍋をつついて、100円レンタルのDVDを見て、ユニクロを着ていれば、十分に生きて行けるし、幸せでしょう? 東日本大震災の後、日常が何事もなく続くのが何よりの幸せだと多くの方々は痛感したはずです。

しかし、私たちが注目するのはこの文の続きの以下の部分です。

それに、「給料が安くて子どもが産めない」と言うけれど、年収300万円の男女が結婚すれば、世帯年収は600万円になります。今の平均世帯年収の400万円台を軽く超えますし、子どもに高等教育を受けさせるにも十分な額です。ですから、女性は年収300万円を確保しつつ、年収300万円の男性と結婚して、出産後も仕事を辞めずに働き続ければいい。「年収800万円の男をゲットして、仕事は辞めて専業主婦になろう」なんて考えないことです。望んでも実現できる確率は非常に低いですから。

非正規シングル女子の年収が300万円よりも低いことは過去に言及した通りなのですが、それでも、家計を共にできる人生のパートナーがいることで経済的安泰は近づきます。なので、女性も自身の結婚の可能性を自分から閉ざさずに、男性とも交流をすべきだと私たちは考えています。

その点、貧コン!はきれいに着飾る必要もなく、参加費も低廉な価格に抑えられているので(今回は500円)、気軽に参加できます。今回は「合コンなんて久しぶり」と参加のメッセージに書いて下さった方もいらっしゃいました。「自分には無理」と思ってきた男女交流。そのための初めの/久しぶりの一歩に「貧コン!」はちょうど良いと思っています。

なお、最近の研究では、女性はなにも楽な生活をしたいがために年収の高い男性を選んで結婚しようとしているわけではないことが明らかになってきました。
社会学者の舞田敏彦氏は、自身のエッセイの中で、女性は結婚をすることで稼げなくなるために年収の高い男性を結婚相手に求めているのではないかという可能性を指摘しました。
未婚女性よりも既婚女性の方が収入が少なくなるというこの現象は「Motherhood Penalty」や「マミートラック」と呼ばれ、アメリカでは女性の結婚率を下げる要因であるとも言われています。

このような女性に不利な風潮こそ、女性団体が団結し、指摘し、声を上げていかねばならないことだと考えています。

貧コン!のような男女の出会いの場が今後も全国に広まりますように…

参加者で記念撮影。写真がNGの方もいたため、当日はもっとたくさんの方がいらっしゃいました…